最高気温が32度、真夏日超え。
5月とは思えない数字が体で感じられる。
暑い。
わたしも暑いが、ねこも暑い。
ふたりして、だんらりと横になっている。
気持ちが良くなりそうな音楽をかける。
一瞬だけ夢の旅に出ては、じんわり汗をかく自分に戻ってくる。
夏が来るのが早すぎやしないか、と思わないでもないが、去年はいつ頃夏が来たかなんて覚えてはいない。
いつも曖昧に時間の流れをとらえては、その時々で文句をつぶやき、ただ川のように流れてゆくのみだ。
最近気になっていた近所の八百屋の「小玉スイカ」
今日なら買っていい気がして、サンダルを履いた。
目当てのスイカは売れていて、値の張るものしか残っていない。だが暑い中、わざわざ小玉スイカのために来ているのだから、収穫なしでは帰れない。
私はトイレをノックするように、控えめにスイカを叩く。
ポンポンという響きは、赤い果汁の染み込んだ水気の多い中身を想像させる。
どれも似たような返事だったが、ひとつを抱えてレジへゆく。
ボーリング玉よりは小さく、占い師の水晶玉よりは大きい、我が家の小玉スイカ。
甘夏とさくらんぼの缶詰と共に
今夜、おまえはフルーツポンチとなる。
ひらけ、夏の扉。