スイッチ ぽん!
で
サナギから羽化するような気持ちになることってありませんか?
何か小刻みに震えながら、劇的に変わってゆくかんじ。
そのきっかけは、さまざま
景色を見たり
匂いを嗅いだり
本を読んだり
音楽を聴いたり
食べたり飲んだり
きっかけひとつで、ぶわぁっと風が吹いて力強く扉が開きます。
『蜂蜜と遠雷』恩田陸
ご存知、直木賞受賞作。
クラシックピアノの有名な国際コンクールを舞台に繰り広げられる物語。
読み終わった瞬間の、あの身体からしゅわしゅわと炭酸が抜けていくような感覚はものすごい。
私にとって、この本はまさにスイッチ、ぽん!
しゅわしゅわと泡のように、世界へ、地球へ、返っていく。土に還るというよりも、世界の、元なる場所へ放たれた感じ。
クラシック
というか
ジャズだ!
それはジャンルを意味する言葉ではなく、つまりは『音楽だ』ということ。
音楽であり、自然であり、もっともっと大きな世界。
何度も湧き出る涙は、寄せては返す波のよう。クラシックは詳しくないのに、頭の中、身体中に音とも言えぬ振動とメロディが響いていく。
作品の中で、素晴らしい演奏を聴いて、自分もピアノが弾きたくてたまらなくなる人がたくさんでてくる。
この感覚がわかりすぎて困る。
すごい演奏(とても気持ちよく楽しそうに、快感という文字が当てはまるような雰囲気)をきくと、自分も弾きたくなるし、歌いたいたくなる。私がジャズをはじめたきっかけとまるきし一緒。
なんて作品なんでしょう。
スタンディングオベーションでした。