梅雨入りした。
夜、リビングの窓を開けておいたら
雨粒がどこかに
ぽつぽつと垂れる音が聞こえた。
先月から我が家に来ている子猫が
腰を下ろした私の身体に
すりすりと顔を寄せる。
雨の匂いがするなぁ。
音は聞こえるのに
とても静かだ。
ふいに 紙せっけん で手を洗いたくなった。
期待でいっぱいの手のひらに
オブラートのように薄くて良い香りのするあれを乗せて、水を垂らす。
「私、紙ですけど?」と乾いた顔をしていたそれが、たちまち水分を含んで、「すーいませ~ん、やっぱり、せっけんです~」とトロけてゆく。
控えめに立つ、泡。
手を洗うというより
紙せっけんを手で弄ぶような
特別な儚い時間。
雨垂れを聴きながらそんな想像をしていたら
amazonでポチッと買っていた。
おそらく明日、
紙せっけんが我が家に届くだろう。
梅雨の訪れと紙せっけん。