昨晩から突然シューマイが食べたい私である。
朝、目覚めてもなおシューマイが食べたいことなんて今までなかったので、こりゃ本格的にきちまったなと思ったのだった。
薄い皮で支える、たっぷりの肉餡。
小ぶりだから次々と口へ運べるあのスナック感覚。
はぁーーーーたまらない。
毎週月曜は朝9時〜13時までの生放送「文化放送 くにまるジャパン」を担当しているので『今日は番組を終えたら絶対に食べにゆくぞ!2月1日をシューマイ記念日にするんだ!!』そんな意気込みで会社へ向かった。
そして時は経った。
ついにこの時がきた。
本日の最高気温は6度ほど。
外気はとても冷たい。
朝からこっそりプランを立てていたので、電車の乗り継ぎをチェックしてイメージトレーニングを始める。
あの駅から歩いて
あの文字が目立つ
あのシューマイを
お持ち帰りで買うんだ!!!
それにしても寒いなぁ。ぷるぷる
するとどうだろう。
わたしの中の別のわたしが語りかけるではないか。
「ねぇねぇ、シューマイの駅まで行かなくても、途中に、気になってたシチュー専門店があるよ?あったまるんじゃない?」
シチュー
専門店?
シチュー
専門店…
シチュー専門店!!!!!
これはれっきとした防衛本能だろうか(たぶん違う)
私は暖をとるために、シューマイからシチューへとあっさり鞍替えをした。
暖を!
わたしに暖を!!
まぁ正直なところ、暖というよりも、15時近くの私は非常に腹ペコ青虫だったわけだ。つまり、距離に勝てなかったのだ。
東銀座は、文化放送がある大門から二駅。
歌舞伎座近くの出口を出て、静かな小道に一本入る。
すると、蔵のような店構えのお店が現れる。
コチラ。
看板には「シチュー」「グラタン」という文字に挟まれ、達筆な文字で『銀之塔』とある。暖簾のつがいの家鴨?は『さぁ、中に入ろうよ』と言わんばかりの様子だ。
その暖簾を家鴨のあとに続いて入ると、座敷とテーブルの店内に奥の厨房とレジから「いらっしゃいませー」と声がかかる。
1人でしどろもどろしていると「奥にもテーブルがありますからどうぞ」と案内され、金庫の扉のような頑丈な戸を抜けて着席した。黒い背もたれは、ピタッと包み込むように背中にフィット。なんだか心地よい。
蕎麦屋のような和風テイストと、かすかに感じる昔の洋食屋の雰囲気を感じながら、細長いメニューを開き『シチュー ミックス 2600円』を頼む。
(…いいお値段だな)
こういう時に発動するのが「自分へのご褒美制度」だ。幾度となくやってくる。お財布破壊制度。
しばらくするとお通しの小鉢が三つ届き…
ついにシチュー大先生、現る。
しかも、土鍋で だ。
結婚式でドレスアップした新郎新婦が人力車に乗って登場するかのごとく、シチューが土鍋で!のギャップにまずやられる。
そして魅惑のグツグツ音は聞いているだけでよだれが出そうだ。
ミックス というのはビーフとテールのミックスを意味するらしく、どちらも箸で持ち上げようとしただけで柔らかくほぐれた。豚の角煮のような柔らかさ。
口に入れると、肉の甘みと煮込まれたとろみが広がる。
すかさずそこへ、激アツのシチューをレンゲですくい啜る。(レンゲなのがたまらなく良い)
アチーーーーーーーーーー!!!
熱いのになぜか笑顔になる恐ろしいシチューだ(笑)
あまりドロっとしておらずサラサラしているのに、後から徐々にコクがやってくる。
細長いジャガイモとニンジンもしっかりとした硬さはありながら、シチューを飽きさせない良いアクセントになっている。
ハフハフいいながら格闘していると、お姉さんが様子を伺いにきてくれる。「ご飯おかわり自由ですからね」ーーそれも嬉しい。
最後、土鍋に残るわずかなルーを 横にあるカブの浅漬けでぬぐいとってしまいたい気持ちを抑えて、シチューのあとの漬物を味わう。
なんだろう。
シチューって、日本の料理だよね?
と思ってしまうあのなんとも言えない気持ち。
ご馳走さまでした。
お姉さんに笑顔で言えた、贅沢なランチ。
シューマイは また今度♪